■私は、
普段使っているものや
身近にあるものについて
「これは、そもそも何のために
あるのだろう?」
と考えることがあります。
話す書く考える工房では、
言葉の意味をそのまま受け取る
だけではなく、
少し違う角度から見たり、
自分なりに意味をつけたりすることを
「考える練習」の一つとして
大事にしています。
■今回考えてみたいのは、
毎日のように使っている人も多い
「鞄(かばん)」です。
鞄は当然ですが、
仕事で使う資料やパソコン、
財布やスマートフォン、
その他、自分が必要としているものを
入れて持ち運ぶために使います。
ただ、
「鞄」というものを
少し抽象的に考えてみると、
人生や仕事にもつながることが
たくさんあるように思います。
そこで今回は、
「鞄力」という言葉を作って
5つに定義してみました。
①鞄力=必要なものを選ぶ力
②鞄力=大切なものを守る力
③鞄力=人の荷物を持つ力
④鞄力=余白を残す力
⑤鞄力=持って前に進む力
です。
一つずつ考えてみます。
①鞄力=必要なものを選ぶ力
■まず、
鞄には容量があります。
当然ですが、
何でも入れられるわけではありません。
だから私たちは、
出かける前に無意識のうちに
「今日は何が必要だろう?」
と考えて、
必要なものを選んで
鞄の中に入れています。
■これは、
仕事や人生でも
同じではないでしょうか。
人が一日に使える時間には
限りがありますし、
一度に考えられることや
できることにも限りがあります。
それなのに、
「あれもやらなければ」
「これもやらなければ」
と何でも自分の中に
詰め込んでしまうと、
鞄がパンパンになるように
自分自身も苦しくなります。
■なので、
何かを始めるときには
「何をするか」を考えることと
同じくらい、
「何を持たないか」
「何をやらないか」
を考えることが
大事なのだと思います。
必要なものを選ぶということは、
不要なものを捨てることでも
あるのです。
これを
「鞄力=必要なものを選ぶ力」
と定義したいと思います。
②鞄力=大切なものを守る力
■そして、
鞄にはもう一つ
大事な役割があります。
それは、
「中に入っているものを守る」
ということです。
財布やパソコン、
仕事で使う大事な資料などを
そのまま手に持って
歩いている人は少ないと思います。
大切だからこそ、
鞄の中に入れて守ります。
■人生でも、
自分にとって大切なものを
「大切だと思っているだけ」
では守れないことがあります。
家族が大切なら、
家族との時間を作る。
仕事で信用が大切なら、
約束を守る。
自分の考えが大切なら、
周りに流されないようにする。
健康が大切なら、
休む時間を確保する。
このように、
「何が大切なのか」を決めて、
それを守るための行動まで
考える必要があります。
■鞄は、
中に入っているものが
大切かどうかを判断しません。
何を入れるかを決めるのは
持っている本人です。
人生も同じで、
自分にとって何が大切なのかを
決めるのは自分です。
だからこそ、
「鞄力=大切なものを守る力」
なのだと思います。
③鞄力=人の荷物を持つ力
■ここから少し、
違う角度から
鞄について考えてみます。
誰かと一緒に歩いているときに、
相手がたくさんの荷物を
持っていたとします。
そんなときに、
「一つ持ちましょうか?」
と言える人がいます。
荷物そのものは
相手のものですが、
少しだけ自分の鞄に入れて
一緒に持つことはできます。
■私は、
これは人間関係でも
同じだと思っています。
誰かが悩んでいるときに
話を聞く。
仕事が大変そうな人がいたら
少し手伝う。
困っている人がいたら
自分にできることをする。
相手の人生そのものを
代わりに背負うことはできません。
しかし、
相手が持っている荷物を
少しだけ持つことはできます。
■もちろん、
何でも人の荷物を
持てばいいわけではありません。
自分の鞄がいっぱいなのに、
さらに他人の荷物まで入れたら
自分が動けなくなります。
だから、
自分が持てる量を知ることも
同時に大切です。
そのうえで、
少し余裕があるときには
人の荷物を持ってあげる。
これを
「鞄力=人の荷物を持つ力」
と考えています。
④鞄力=余白を残す力
■私は、
この「余白」というものが
人生をより良くするためには
とても大切だと思っています。
鞄の中に、
荷物を100%詰め込んで
出かけたとします。
すると、
途中で何かを買っても
入れる場所がありません。
何か新しいものを
受け取ったとしても、
持って帰ることが
できないかもしれません。
■これは、
時間や仕事についても同じです。
朝から夜まで
予定を100%入れていると、
突然誰かから誘われても
動くことができません。
仕事を100%抱えていたら、
面白そうな仕事が来ても
引き受けられません。
自分の考えで頭の中を
100%埋めてしまったら、
人から新しい考え方を
教えてもらっても、
受け入れる余地が
なくなってしまいます。
■つまり、
「何も入っていない」ということは、
必ずしも無駄ではないのです。
何も入っていないからこそ、
新しいものを
入れることができます。
時間にも、
仕事にも、
人間関係にも、
そして自分の頭の中にも、
少し余白を残しておく。
これが、
新しいものと出会うためには
大切なのだと思います。
なので、
「鞄力=余白を残す力」
と定義します。
⑤鞄力=持って前に進む力
■最後は、
「持って前に進む力」です。
人生を生きていると、
いろいろなものが
自分の鞄の中に入ってきます。
成功した経験もあれば、
失敗した経験もあります。
人から教えてもらったこと、
本を読んで学んだこと、
誰かから言われて
嬉しかった言葉もあれば、
できれば忘れたいような
出来事もあると思います。
■私は、
これらをすべて捨てる必要は
ないと思っています。
過去を変えることは
できませんが、
過去から何を持っていくかは
自分で決めることができます。
失敗したという「事実」を
持ち続けるのではなく、
「失敗から学んだこと」を
鞄に入れる。
誰かに否定された言葉を
ずっと持ち続けるのではなく、
そこから自分が考えたことを
鞄に入れる。
そうやって、
自分に必要な形に変えながら
持っていけばいいのだと思います。
■人生というのは、
手ぶらで歩いているように見えて、
実際には誰もが
目に見えない鞄を持って
歩いているのかもしれません。
その鞄の中には、
これまで経験してきたことや
学んできたこと、
出会ってきた人から
もらった言葉などが
たくさん入っています。
だからこそ、
「鞄の中に何が入っているか」
をときどき確認することが
大切なのだと思います。
■改めて5つを並べてみると
①鞄力=必要なものを選ぶ力
②鞄力=大切なものを守る力
③鞄力=人の荷物を持つ力
④鞄力=余白を残す力
⑤鞄力=持って前に進む力
となります。
■こうやって考えると、
「鞄力」というのは、
単純にたくさんのものを
持つ力ではありません。
むしろ、
「何を持つのか」
「何を持たないのか」
「何を守るのか」
「誰の荷物を少し持つのか」
そして、
「どれくらい余白を残しておくのか」
を考える力なのだと思います。
■そして、
人生の途中では、
ときどき鞄を開いて
中身を整理することも必要です。
昔は必要だったけれど、
今はいらないものもあります。
反対に、
昔は必要なかったけれど、
これから必要になるものもあります。
人が変われば、
持つものも変わります。
行く場所が変われば、
必要なものも変わります。
だから、
一度鞄の中身を決めたら
終わりではありません。
今の自分に合わせて、
入れたり、
出したり、
ときには人から
受け取ったりしながら、
自分の鞄を作り続けていく。
■もしかすると、
「人生を変える」ということも、
いきなり自分自身を
大きく変えることではなく、
自分が持っている
「鞄の中身」を
一つずつ変えていくことなの
かもしれません。
今日まで持っていたものを
一つだけ手放してみる。
これから必要になるものを
一つだけ入れてみる。
誰かの荷物を
少しだけ持ってみる。
そして、
新しいものが入ってくるように
少しだけ余白を作ってみる。
そんな小さなことから、
人生の行き先も少しずつ
変わっていくのではないでしょうか。
■鞄は、
どこかへ行くために
持つものです。
そう考えると、
「何を持つか」を考えることは、
「これから自分がどこへ行きたいのか」
を考えることでもあります。
自分の鞄に何を入れて、
何を置いていくのか。
そして、
その鞄を持って
これからどこへ向かうのか。
たまにはそんなことを
考えてみても面白いと思います。
今日も読んでいただき
ありがとうございます。
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【まとめ】
■鞄力=必要なものを選ぶ力
人生には容量があるからこそ、
何を持つか、何を持たないかを選ぶ。
■鞄力=大切なものを守る力
自分にとって大切なものを決め、
それを守るための行動をする。
■鞄力=人の荷物を持つ力
相手の人生を背負うのではなく、
自分が持てる範囲で少しだけ持つ。
■鞄力=余白を残す力
新しいものを受け取るためには、
時間にも心にも余白が必要。
■鞄力=持って前に進む力
経験や失敗、学びを自分なりに整理して、
必要なものを持ちながら前へ進む。
■人生を変えるということは、
自分の「鞄の中身」を一つずつ
変えていくことなのかもしれない。
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