Produced by 話す書く考える工房

モノが持つ力

「信号力」の研究

■私は最近、

「信号」というものは、
よく考えるとすごい仕組みだなと

改めて思うことがあります。

もちろん、

ここで言っている「信号」は
道路にある信号機のことです。

赤になれば止まる。
青になれば進む。
黄色になれば注意する。

私たちは普段、

信号を見るたびに
いちいち深く考えているわけではありません。

それでも、

信号を見れば自然と
次に何をすればいいのかがわかります。

■ここに、

私は「信号」が持っている
大きな力があると思っています。

それを私は、

「信号力」

と呼んでみたいと思います。

私なりに「信号力」を考えてみると
大きく5つの定義があります。

①信号力=「相手に次の行動を迷わせない力」

②信号力=「進むタイミングを伝える力」

③信号力=「止まるタイミングを伝える力」

④信号力=「注意を向ける力」

⑤信号力=「みんなの動きを整える力」

です。

今日はこの5つについて
少し考えてみたいと思います。

■まず一つ目は、

信号力=
「相手に次の行動を迷わせない力」

です。

私はこれが「信号力」の
一番基本になる力だと思っています。

例えば、

交差点に信号がなかったら
どうなるでしょうか。

車を運転している人は、

「進んでいいのかな」
「向こうの車が先なのかな」
「今、渡って大丈夫なのかな」

と、その都度判断しなければ
ならなくなります。

つまり、

信号があることによって
私たちは「考えなくていいこと」を

考えなくて済んでいるのです。

■これは、

人とのコミュニケーションでも
同じではないでしょうか。

仕事をお願いするときに、

「なるべく早めにお願いします」

と言われるのと、

「明日の15時までにお願いします」

と言われるのでは、
相手の迷いがまったく違います。

「なるべく早め」だと、

今日なのか、
明日なのか、
今週中なのか、

相手が判断しなければなりません。

一方で、

「明日の15時まで」と言われれば、
相手は次の行動を決めやすくなります。

つまり、

良いコミュニケーションというのは、

たくさん説明することだけではなく、

「相手に次の行動を迷わせないこと」

なのではないかと思っています。

■二つ目は、

信号力=
「進むタイミングを伝える力」

です。

信号は、

止めるためだけに
存在しているわけではありません。

青になれば、

「進んでいいですよ」

ということも教えてくれます。

これは当たり前のことですが、

私は人との関係でも
かなり重要なことだと思っています。

例えば、

部下や後輩から相談を受けたとき、

「それでいいと思うよ」
「まずやってみたら」
「その方向で進めて大丈夫だよ」

という言葉をかけることがあります。

これもある意味、

相手に対して
「青信号」を出しているわけです。

■人は、

自分では「やってみたい」と
思っていたとしても、

「本当にやっていいのかな」

と迷ってしまうことがあります。

そんなときに、

誰かから青信号を出してもらうことで
一歩踏み出せることがあります。

もちろん、

何でも「やればいい」と
言えばいいわけではありません。

大切なのは、

「今は進んでいい」

というタイミングを
きちんと伝えることです。

人を動かすというのは、

強く背中を押すことだけではなく、

「進んでいいよ」と
信号を出してあげることなのかもしれません。

■三つ目は、

信号力=
「止まるタイミングを伝える力」

です。

これは二つ目とは反対になります。

信号には青だけではなく
赤があります。

もしも、

すべての信号が青だったら
どうなるでしょうか。

おそらく交差点は
大混乱すると思います。

つまり、

スムーズに進むためには、

実は、

「止まること」

も必要なのです。

■これは、

仕事でも人生でも
同じことが言えると思っています。

私たちは、

「行動すること」
「挑戦すること」
「続けること」

を良いこととして考えがちです。

もちろん、

私も行動することは
とても大切だと思っています。

しかし、

ときには

「一度止まったほうがいい」
「今はやらないほうがいい」
「もう一度考えてみよう」

という赤信号も必要です。

特に、

人が何かに夢中になっているときは、

自分自身では
赤信号を出しにくくなります。

だからこそ、

周りの人が適切なタイミングで
赤信号を出してあげることにも

大きな意味があると思っています。

■四つ目は、

信号力=
「注意を向ける力」

です。

信号には、

進む「青」と
止まる「赤」の間に

「黄色」があります。

黄色は、

単純に「止まれ」というよりも、

「少し注意してください」

という信号です。

私は、

この黄色信号のような
コミュニケーションも

とても大事だと思っています。

例えば、

「少し気になるところがあります」

「ここだけ確認しておいたほうが
いいかもしれません」

「このまま進める前に
一度確認してみませんか」

という伝え方です。

■人に何かを伝えるときに、

いつも、

「正しい・間違っている」

「やる・やらない」

「良い・悪い」

と白黒をつける必要はありません。

まだ問題にはなっていないけれど、
少し気をつけたほうがいい。

そんな状態もあります。

だから、

「止まってください」

と言う前に、

「ちょっと注意してみてください」

という黄色信号を出す。

この力がある人は、

問題が大きくなる前に
相手に気づいてもらうことができます。

そう考えると、

注意するということは、

相手を否定することではなく、

相手に大切なものを
見てもらうことなのかもしれません。

■そして五つ目が、

信号力=
「みんなの動きを整える力」

です。

私は、

この5つ目が
組織やチームでは

特に重要だと思っています。

信号がすごいのは、

一人だけを動かしている
わけではないところです。

たくさんの車、
自転車、
歩行者など、

それぞれ違う目的を持っている人たちを

たった3色で
ある程度整えています。

誰か一人が、

「私は急いでいるから赤だけど進みます」

と言い始めたら
仕組みは成り立ちません。

つまり信号は、

一人ひとりの動きを
コントロールしているように見えて、

実際には、

「全体の動きを整えている」

のです。

■これは、

会社のマネジメントでも
同じではないでしょうか。

上司が、

人によって違うことを言ったり、

昨日と今日で
違う指示を出したり、

何を優先するのかを
明確にしなかったりすると、

部下は迷います。

一人ひとりが迷えば、

結果としてチーム全体の動きも
バラバラになってしまいます。

逆に、

「今はこれを優先する」
「ここまでは進めていい」
「ここから先は確認する」

という信号が共有されていれば、

一人ひとりが
自分で動きやすくなります。

管理するというと、

人を細かく動かすことを
イメージしてしまいますが、

本当に良いマネジメントとは、

一人ひとりを細かく管理することではなく、

「みんなが自分で動ける信号を出すこと」

なのかもしれません。

■こうやって考えてみると、

「信号力」というのは、

単純に

「指示を出す力」

ではないことがわかります。

①相手に次の行動を迷わせない。

②進んでいいタイミングを伝える。

③止まったほうがいいタイミングを伝える。

④注意したほうがいいことに気づかせる。

⑤そして、みんなの動きを整える。

この5つを使い分けることが
「信号力」なのだと思っています。

■そして、

もう一つ大切なのは、

「信号を出さないことも
一つの信号になってしまう」

ということです。

返事をしない。

判断を伝えない。

期限を決めない。

良いのか悪いのかを伝えない。

本人は、

「まだ何も決めていない」

だけなのかもしれません。

しかし、

相手からすると、

「進んでいいの?」
「待ったほうがいいの?」
「何か問題があるの?」

と迷うことになります。

特に、

上司やリーダーなど
人に影響を与える立場になるほど、

信号を出さないことによって
多くの人を迷わせてしまうことがあります。

■私は、

コミュニケーションが上手な人というのは、

話が上手な人だけでは
ないと思っています。

むしろ、

相手が

「次に何をすればいいのか」

をわかるようにしてあげられる人が、

本当の意味で
コミュニケーションが上手な人なのかもしれません。

青信号を出す。

赤信号を出す。

黄色信号を出す。

そして、

必要な信号を
必要なタイミングで出す。

そうすることで、

相手は安心して
自分で動くことができます。

■なので、

私は「信号力」を、

人を自分の思い通りに
動かすための力ではなく、

「相手が自分で判断して
動きやすくするための力」

として考えていきたいと思っています。

そう考えると、

話すことも、
書くことも、
マネジメントすることも、

ある意味では、

「相手に信号を送ること」

なのかもしれません。

自分が発した言葉によって、

相手が進めるのか。

相手が止まれるのか。

相手が注意できるのか。

そして、

相手が迷わず
次の一歩を選べるのか。

そんな視点で、

自分が普段発している「信号」を
一度考えてみるのも

面白いのではないでしょうか。

今日も読んでいただき
ありがとうございます。

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【まとめ】

■信号力=
「相手に次の行動を迷わせない力」

■信号力=
「進むタイミングを伝える力」

■信号力=
「止まるタイミングを伝える力」

■信号力=
「注意を向ける力」

■信号力=
「みんなの動きを整える力」

■良いコミュニケーションとは、
たくさん話すことだけではなく、
相手が次に何をすればいいのかを
わかりやすくすることでもある。

■信号力とは、
人を思い通りに動かす力ではなく、
「相手が自分で判断して
動きやすくするための力」である。

■話すこと、書くこと、
そしてマネジメントすることも、
ある意味では
「相手に信号を送ること」である。
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